店日記

古書
2018年07月13日(金)
また、治療と関係ない堅苦しい話なんですが、私は江戸中期の芝山後藤先生が文化9年(1812年)に販売した易経の木版本を何冊も集めています。
同じような本を何冊もと思うかもしれませんが、保存用、読む用、念の為用( ̄∀ ̄)。
それに、年代が古いので欲しい!などバカな話ですが、とりあえず欲しいのです!・・・でも貧乏なので安く買えた時だけです。
下の写真はだいぶ前に安く入手した本ですが、保存状態がとても良く、訓読の送り仮名とか読みやすいです。

その前書きに伊川易伝の易傳序が掲載されています。3ページ程です。
伊川易伝というのは、中国北宋時代の儒学者で有名な程頤先生の本です。程頤は「ていい」と読みます。

写真の左端に、有宋元符二年巳卯正月庚申河南程頤正叔序とあります。
これは宋の時代、元符二年巳卯正月、つまり西暦1099年の旧正月(2月)に河南にて程頤正叔が記したという事です。日本では平安時代です。
易学は北宋の程頤から100年後、南宋の朱熹へと繋がります。朱熹は江戸の学問に多大な影響を与えた朱子学の学者です。

易経の本文は紀元前1000年頃の殷周の占術記録ですが、それが漢、三国、晋、南北朝、隋、唐、宋と千年間受け継がれ、日本に伝わり江戸期に花開きました。
江戸期では寺子屋や貸本屋、藩校などで教科書として親しまれた本ですが、その易経の序文に程頤先生の序文が掲載されているので読まずにはいられません。
前書きは作者の気持ちの塊です。特に注釈本では重要な意味を持ちます。
私もたまに誦しています。
訓読や現代語訳がネットで検索しても出てこないので、ここで訓読、現代語訳を掲載していこうかと思います。
まあ、治療にまったく関係ないですが、良い話でもあるので。
易にしても論語にしても、紀元前の春秋戦国時代以前から続く波乱の歴史で多くの賢人が残した格言、生き様が日本海を渡り、そして江戸の文化となり今につながる。

最初は紀元前1000年以前→西暦1099南宋の程頤先生→1812年の芝山後藤先生→そして現在2018年。

太古から続く時空を超えたロマンを感じますよね。

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