店日記

時間がほしい
2020年11月12日(木)
年々体力が低下しています。
たいして店が忙しくなくても、夕方くらいになるときついですね。
とは言え、皆さまが悠悠閑閑とした当店に来てくれるのは、本当にありがたいことです。

暇な時は本の執筆をしていますが、まだまだ先が長いです。
書いているのは易経で、64のお話からできています。
原文、読み下し文、漢字の解説、本文の訳、解説と書いていくのですが、訳と解説が大変です。
読み下し文と古い漢字の解説は終わりました。
本文の訳と解説は45番目まで終わっています。
あと19話ですが、改めて見返すと前半の訳がぜんぜんダメです。
後半は訳すのに慣れて少し良くなっていると感じます。
すべて終わったら、また前半を書き直さないとダメそうです。
そうすると上巻が来年の春までに終わるかどうか微妙です。

それにしても易経は、非常にシンプルで真意を読み解くのが難しいです。
例えば「未安上也」の四文字、これは読み下し文だと、
未だ上に安んぜざるなり。
になります。
これは萃卦の一部で、萃は集まるという意味です。人が集まることについての教訓が書かれています。この流れから判断して訳すと、

(訳)一人寂しく権力のない地位にいて心が休まらないからである。

ありえないでしょ。
この「未安上也」の四文字でこの意味を込めています。
訳を見てから「未安上也」を見ればそんな気がしますが、この4文字から読み解くのは簡単ではありません。

それはそれとして、さっきの訳が長すぎます。
本にするとなるとページ数を考えないといけません。
そこで、訳を以下のように短縮していきます。

1、一人寂しく権力のない地位にいて心が休まらないからである。
2、独り空しい地位にいて心が落ち着かない様子である。
3、独り空しい地位で憂うからである。

3はすっきりしていい感じですよね?
占いの書としては趣を残しつつ、かっこいい文がいいです・・・私がそう思うだけかもしれませんが。
まあ、いいんです、趣味なので。

それにしても3000年以上前に、よく考えて記したと感心します。
深い意味を4文字の漢字に縮めたのはすごいです。
頭に残ります。
もともと漢字は一文字に意味を持たせて、3つ4つの文字で話ができます。
深い意を伝達できる上、非常に少ない文字で済みます(一文字でも)。
そこから敷衍して解釈の幅が広げられるので、多くの場面に応用できます。
なかなか面白いものです。

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