店日記

占断、山雷頤の初爻
2021年02月07日(日)
当店の存亡を易で占った結果、山雷頤(さんらいい)の初爻を得ました。
易は八掛という陰陽を三本組み合わせた横棒を上下二つ組み合わせて64の物語から成ります。
さらに64の物語が6段階で構成されて384の話になっています。
前回の山雷頤というのは、上掛が山、下卦が雷という八掛の属性で、初爻は6段階の最初の話になります。
まあ、その辺はどうでもよくて内容は以下です。

頤。貞吉。觀頤。自求口實。
(訓)頤(い)は、貞しければ吉なり。頤を観て、自ら口実を求む。

この部分を掛辞(かじ、けいじ)といいます。
ここが占断の基本となります。
訳と解説は前回と重複しますが、もう一度掲載します。

訳)頤は、正道を守れば吉である。養う相手と目的を見定めて、自ら適する手段を求めるのである。
※解説、卦の形が口に似ていることから頤である。頤は顎のことである。上卦が艮で止まる、下卦が震で動く意味からも顎でもある。そして顎は食べる器官であり、食べることは身体を養うことである。そのことから頤卦は養う象といえる。卦辞の「口実」とは口を満たすことである。そして、食べる物は米や魚などの食物だけではない。精神の栄養となる徳を食べなくてはならない。また、養う際に大切なのは、正しい手段と正しい目的である。動物は本能的に食べるが、人は考えて食べるのである。

短い原文から文章が膨れ上がるのは、漢字の含蓄作用と、次の彖傳という部分の解説、原文の解説書が古代からいくつもあり、それらを合わせているからです。それと八掛(易の記号)の象(形)から連想して付け加えています。

噛み砕いて説明すると、まず店の存亡を占ったので、頤=顎というのは、店は利益を生み生活の糧としている訳です。
世の中のありとあらゆる仕事は、大なり小なり利益を得ます。
バスの運転手も自分の生活のために運転している訳です。
スーパーのカート運びのバイトも生活費の足しに・・・まあ、飲み代や老後の生きがいという人もいるでしょうが。
しかし、稼ぐのは良いことですが、もっと大事なのは、その手段なんです。
動物なら本能のまま狩りをするのですが、人の場合はそうではありません。
この卦では「考えて食べるのだ」と説いています。
つまり、働くということは正道を踏まなくてはならないのです。
無理やり売りつけたり、転売して他人の迷惑になる行為はダメということです。
例えば、カート運びだと、カートを盗んでどこかに売ればもっと稼げるかもしれません、しかし、それは人徳に背き、いつか必ず咎めを受けます。
手段を問わず稼げればよい訳ではありません。
確かに、そんな悪質商売が蔓延する社会では、まともな暮らしなどできませんよね。
稼ぎ方が大事なのです。

つまり、私の店の存亡は、まず相手の為になる仕事でなくてはダメということです。

・・・どうです?
易は占いだけど、江戸時代に学問として、道徳哲学の筆頭に挙げられていた理由が分かりませんか?
しかも、三千年まえの殷、周時代の人が考え、貴重な帛書に記された話なんですよ。
ありがたいことです。
易は占いだけど、爺さんの説教のような学問の本なんです。
我が国では江戸期に侍から庶民まで徹底して叩きこまれた道徳。
これが現代の日本人の意識にいまだに受け継がれているんですよ。
・・・今のところ。

つづきは次回。
写真は江戸の木版本、易経で、今回の占断の所です。
今日は一番左の写真の赤枠、最初の句です。

てきとうな日記を書くところなんですが、堅苦しいし、長いし疲れると思います。
・・・読まない方がいいかもしれません。
私も書いていて疲れます。
・・・肩がこったので鍼でもしないと。

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